皆さんこんにちは!
災害医療大学:医療防災学科です!
なぜ医療防災を行わなければならないのでしょうか?
「医療機関や保健福祉の施設は防災について頑張らないといけない」
施設の特性上、災害が起きたら「頼られる」可能性があるから仕方がない。
と割り切れる方もいると思います。
中には「なぜ医療機関だからと言って防災頑張らないといけないのか?」と疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか?
ということで、今回は「どういった流れで医療防災に努めるのか?」を解説します。
医療防災に努める法的根拠
災害医療にかかわる法律として有名なものは「災害対策基本法」ですね。
そう、つまり法的根拠は「災害対策基本法」です。
災害対策基本法の内容を見ていきましょう!
災害対策基本法
災害医療全般にかかわる話ではありますが、以下の項目が今回の医療防災にかかわってきます。
- 第3条:国の責務
防災に関する計画の作成・実施、相互協力等 - 第34条:中央防災会議の設置及び所掌事務
中央防災会議の設置、防災基本計画の作成・実施等 - 第36条:指定行政機関の防災業務計画
防災基本計画に基づいた防災業務計画の作成及び検討・修正
さらっと抜粋するとこんな感じです!
災害対策基本法で触れられている「防災基本計画」が重要ですね!
しかし、防災基本計画はあくまでも参考書みたいなものです。
具体的に書かれているのは、防災基本計画をもとに厚生労働省が作った「防災業務計画」なのです。
防災業務計画
詳しく書かれているのは第1編 第3章 第2節 災害医療体制の整備〈抄〉です!
細かく見てみましょう!
- 第1 都道府県内における体制整備
都道府県は、医療計画等に基づき、保健所の活用などに配慮しつつ、災害時医療体制の整備に努める。 - 第2 地域の医療関係団体との連携
- 第3 災害拠点病院の整備
都道府県は、災害時の患者受け入れ機能、水、医薬品、医療機器の備蓄機能が強化され、応急用資機材の貸し出しなどにより、地域の医療施設を支援する機能などを有する災害時に拠点となす災害拠点病院を選定し、または設置することにより、災害時医療体制の整備に努める。 - 第4 災害派遣医療チーム(DMAT)などの体制整備
厚生労働省医政局は災害派遣医療チーム(DMAT)などの運用に係る体制を整備するために、日本DMAT活動要綱を策定する。 - 第5 災害時情報網の整備
厚生労働省医政局、健康局及び都道府県は、大規模災害発生時において医療機関における傷病者数等の状況等の被害の規模を推測するため、広域災害及び救急医療に関する情報システムにより国・都道府県間、都道府県・市長損・保健所間、保健所・医療施設間等の災害時における情報収集及び連絡体制の整備に努める。 - 第6 災害時の対応マニュアルの策定等
災害医療に思いっきりかかわるところなのでまとめて抜粋しました!
さらに細かく見ていきます!
第1 都道府県内における体制整備
ここで明記されていますね!
災害時医療体制の整備をするのは都道府県なのです。
指揮命令系統としては以下のようになります。
第2 地域の医療関係団体との連携
この「地域の医療関係団体」とは、枚挙にいとまがありませんが医師会・看護師会のような職能団体をはじめ、地域で医療を担う団体のほとんどが含まれます。
第3 災害拠点病院の整備
災害拠点病院は防災業務計画で細かく指定されているように、災害拠点病院の選定基準が存在します。
基準については別の講義でお話しします。
第4 災害派遣医療チーム(DMAT)などの体制整備
DMATは医療防災では深く触れることはありません。
災害医療大学のこちらの講義で紹介しています!
第5 災害時情報網の整備
災害時情報網の項で記載されているものは現在でいうところの「EMIS」になります。
病院に勤めている方なら聞いたことがあるかもしれません。
簡単に紹介すると、「病院の安全確認システム」です。
詳しくはこちらをご覧ください。
第6 災害時の対応マニュアルの策定等
災害時の対応マニュアルと記載されていますが、業務継続計画〈BCP〉のレベルまで準備したほうが好ましいと思われます。
現状、災害拠点病院は選定基準の中に「BCPの策定がされていること」と含まれています。
「第7次医療計画」の中では災害拠点病院だけでなく、地域の一般病院においてもBCPは重要であり、引き続きBCP策定を推進する。という旨が記載されています。
今後は「災害拠点病院」→「地域の一般病院」→「薬局」のようにBCPの策定が浸透していくかもしれません。
さて、医療防災の法的根拠、どんな流れで指示が出ているのか、つかめましたか?
もっと細かい講義は順次追加していく予定です。
コメント
[…] […]
[…] […]